歯周病の初期症状を知り、
できるだけ早めの受診を

──歯周病が重症化する前の症状としては、どんなものがありますか。

歯周病の初期段階で多い症状は、歯磨きをするだけで歯ぐきから出血する、いやなにおいがしてきた、というものです。以前よりも、なんとなく歯の揺れを感じるようになって、受診してみたら歯周病だったという方もいらっしゃいます。

症状がある程度以上進行してしまった場合、以前は歯を抜くしか対応策がありませんでしたが、現在は治療法も確立されてきています。たとえば「再生療法」と呼ばれる手法ですね。これは骨が失われてしまった部分に骨補填材と呼ばれる顆粒材(*一種の人工骨)を足したり、患者さん自身の歯槽骨を移植することで、再生をうながすというものです。すべての患者さんに適用できるわけではありませんが、条件によっては、こうした治療も可能になってきています。

──歯周病で歯槽骨が溶けてしまったとしても、補填材や移植で再生できる場合もある。これも一般にあまり知られていないことかもしれませんね。

以前だったら抜歯していた歯も、こうした治療法により、残すことが可能になるケースが増えています。あきらめずに、まずはご相談いただけたらと思います。

以前は抜歯しかなかった歯も、補填材や自家移植で残せるケースが増えているという

予防の基本はプラークを
付着したままにしないこと

──先ほど「予防の第一歩はクリーニング」というお話がありましたが、歯磨きさえしっかりしていれば、歯周病はある程度防げるものですか?

歯周病の原因は、磨き残しによる歯の汚れ、一般にプラークと呼ばれているものです。プラークは歯の表面にこびりついたネバネバした物質ですが、これは歯ブラシ1本では取り切ることが困難です。やはり歯医者さんで専用の器具を使ってクリーニングするのが有効な予防手段でしょう。

歯ブラシでは歯と歯の間は磨けませんので、フロスや歯間ブラシといったツールを補助的に使うことも重要です。最近では電動歯ブラシや音波歯ブラシなども良いものができているので、こういった製品を併用するのも歯周病予防に効果があると言えるでしょう。

──定期検診は、どれくらいの頻度で受けるのがいいんでしょうか。

歯周病の進行具合にもよりますが、一般的に定期検診は3ヵ月に1回が理想と言われています。中程度の歯周病であれば、3ヵ月に1回の定期検診とクリーニング、毎日の歯磨きによって症状が改善していくケースが多いです。

定期検診では歯周病の目安となる歯周ポケットの深さも計測しますが、個人的にはこうした数値を知ることで、患者さん自身に自覚が生まれるという点も大きいと思っています。歯周ポケットの深さが次第に改善されていけば、患者さんにとってもいい目安になりますし、歯磨きを頑張ろうというモチベーションにもつながっていくのではないでしょうか。

詰め物が取れた場合など、他の治療で来院した際にレントゲンを撮って歯周病であることがわかったという方も多いです。自覚症状がないので、今のままではダメなんですか、という質問もよく受けますね。そのような場合には、初期の段階で治療をしっかりした方がいいですよと、ご説明しています。

50代、60代になってからの歯の健康は、歯周病対策ひとつで大きく変わってきます。そのためにも治療と対策は1日でも早いほうがいいんですね。ケアと定期検診をしっかりおこなえば、歯周病はけっして予防できない病気ではありません。そのことを、ひとりでも多くの方に知っていただきたいです。