自覚症状がないまま
症状が進み、歯を支える骨が溶けてしまう歯周病。
早期発見、早期治療のポイントをお教えします。

医局長 平林 直人

自覚症状なしで
進行する歯周病

──歯周病という病名はよく聞くものの、どういう病気なのか、今ひとつよくわからないという人も多いと思います。たとえば虫歯と比較すると、どんな特徴があるんでしょう。

虫歯も歯周病も菌が引き起こす病気という点では同じです。虫歯の場合は歯の色が黒くなったり、穴が開いたり、欠けてきたりというように、目で見てわかる症状が起きるので、患者さん自身が気づいて来院されるというケースも多いんですね。

対して歯周病は、ある程度進行してからでないと体感できるような症状が出にくいという傾向があります。気づかないうちに進行してしまうという意味でも、虫歯より歯周病の方がより深刻化しやすいと言えるでしょう。

歯周病は他の病気を引き起こすこともある、とても怖い病気です。血液中に歯周病菌が存在することで、動脈硬化、高血圧、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病など、さまざまな病気を引き起こす可能性があると言われています。

──まったく自覚症状がないまま、歯周病がかなり進行していた、という例は多いんでしょうか。

かなり多いです。歯周病は歯を支えている骨、いわゆる歯槽骨(しそうこつ)が溶けていく病気なので、どれくらい進行しているかを見るためには、レントゲン撮影による診断が必要不可欠です。自覚症状なしに進行する歯周病を発見、予防するには、歯科医院の受診をお薦めします。

──でも自覚症状が出るまで歯医者さんに行かない、という人も多そうですね。

おっしゃるとおりで、そこが歯周病予防の大きな課題だと思っています。

自覚症状がないことも多い歯周病。予防のためには歯科医院の受診が必要不可欠といえる

歯を支える骨が溶けていく。
重症化すると歯の脱落も

これは私が普段、患者さんに説明する際に使っている模型です。向かって左側が健康な歯、右側が歯周病が進行した状態ですね。健康な歯は歯槽骨にしっかりと支えられていますが、この部分が歯周病で溶けていくと、歯と歯槽骨の間に黒い歯石がたまってきます。

さらに重症化してくると、歯ぐきに膿が溜まって腫れたりといった症状も出てきます。最終的には歯がグラグラしてきて、抜け落ちてしまう。この自然に歯が抜けてしまうことを自然脱落といいます。実際には膿が溜まって腫れて痛い、歯がグラグラする、こういった段階で来院される患者さんがほとんどです。

──実際には、自覚症状よりもかなり前の段階から歯周病は進行しているわけですか。若い人でも歯周病が進行することってあるんでしょうか。

20代、30代の方が歯周病で歯を失うケースはかなり稀と言っていいと思います。それまでなんの問題もなかったのに歯ぐきが腫れる、歯を指で触るとグラグラするといった症状が起きてくるのは、50代以降の方に多いですね。

40代以上の80%が歯周病に罹患しているというデータもあります。40代以上であれば誰でも罹る可能性のある病気、と考えておいた方がよいでしょう。