痛いと感じたら、少しでも早く受診を。
早期治療で歯を残せることもあります

お盆休み、年末年始などは夜間救急対応がとくに増える傾向にあります。これは連休中に歯が痛くなることが多いというよりも、街の歯医者さんが休みだったり、夜間診てもらえるところがないことが大きく関係していると思います。

患者さんに訊いてみるとネットなどで調べて来院されたという方が多いようです。やってくる方は年齢、性別を問いません。夜中の歯痛というと、子どもに多いというイメージがあるかもしれませんが、実際にはあらゆる年代の方が夜間救急で来院されます。

先日も歯が痛いのをとおり越して、しびれを感じるという患者さんが来院されました。3D-CTで患部を見ると、歯の根の先に膿が溜まり、近くを通っている神経を圧迫しています。あまりに神経が強く圧迫されて、麻痺しているという状態でした。

このときは神経への圧迫を軽減するために抜歯することになりましたが、炎症が起きても麻痺が出る前に来院していれば、抜歯以外の方法で神経への圧迫を減圧できたかもしれません。そういった意味でも夜間休日の救急対応には意味があると思っています。

急な歯痛で来院する人は年齢、性別を問わない。お盆休みや年末年始はとくに増える傾向にある

救急で来院される患者さんの、すべての歯が残せるわけではありませんが、少なくとも痛みを我慢して麻痺する前に治療した方がよいですし、その後の経過にも好影響があるでしょう。痛いときには、やはり早めに歯医者さんに行くこと。早期発見、早期治療であれば、痛みも少なくて済みます。定期検診をお勧めするのも、これが大きな理由です。

あと比較的多いのは、親知らずの抜歯後出血で来院されるというケース。出血の原因は手術前・手術後の処置が適切だったかよりも、患者さんの体質による部分が大きいと言われています。ある意味確率の問題というわけです。

人間の体内を流れる血液は、およそ5リットルといわれていて、そのうちの3分の1程度(1500㎜リットル強)が失われると、出血性ショック状態に陥ってしまいます。親知らずの抜歯後出血の場合、500〜700㎜リットル程度の出血が起きて夜間救急に来られるケースが多いです。抜歯後出血も結構な出血量であることがわかります。そのためにも24時間対応が必要とされているわけです。

インプラントや深いところに埋まっている親知らずの抜歯など、通常よりも難易度の高い手術をした場合、術後出血などが起きる可能性は、より高くなります。夜間救急には、そういった不測の事態に備える意味もあります。夜間、万が一のことがあった場合にも対応できる体制が整っていること。これも医療機関としての責任のひとつだと考えています。