治療が確実に進んでいると
実感していただくために

──ワタナベ歯科の先生がたが普段の治療で心がけていることって、どんなことですか。

貴重な患者さんのお時間をいただいて治療をしている、その意識は常にもつようにしています。極力お待ちいただくことのないように、というのはもちろんですが、予約した時間に来ていただいて処置をおこなったら、確実に治療が進む。この実感があることも大事なことだと思っています。

──今日の処置の結果、全体の治療計画のうち、どこまで進んだのか。こういったことが確認できると、納得度というか、理解度も大きく変わってきそうですね。

そう言っていただけると、うれしいですね。なぜ歯医者さんで長時間口を開けて大変な思いをしなければならないのかというと、これは最終的にはお口の健康のため、歯の寿命を長く保つためなんです。その意識を患者さんと、どれくらい共有できるか。これは個人的には歯科治療において、かなり大きなポイントだと思っています。もしかすると実際の治療以上に大切なことかもしれません。

ですから「この治療について、もうちょっと詳しく説明してほしい」など、気になる部分がある場合には遠慮せず、むしろ積極的に質問していただきたいと思っています。より踏み込んだ細かい内容について説明するのも、歯科医の重要な仕事なんですよ。

治療の進み具合、今日の治療内容など、顕微鏡画像などを使ってその都度、細かく説明している

──全体の治療計画が共有されていて、いまどのあたりかが把握できる。たしかに患者さんにとっても安心感がありますね。

治療が終わったあとの定期検診、メンテナンスにも、ぜひ来ていただきたいと思っています。じつはそれが歯の健康を保つための一番の近道なんですね。身体の怪我は大きなものでなければ組織が再生して元通りになりますが、歯の場合は虫歯になった部分が再生して元通りになるということはありません。虫歯の部分を削って詰め物をしたり、被せものをしたりするのは、あくまでも治療であって、失われた歯は戻ってきません。だからこそ予防が大切なんです。

定期検診とクリーニングで
歯の健康は大きく変わる

──そう言われても50代、60代になったときのことをイメージして、若いうちから定期検診に通っている、という人はかなり少ないような気がします。

お口の健康といいうのは、砂時計とよく似ています。健康な歯は砂時計の砂のように、時間とともに少しずつ失われていく。元々の体質やメンテナンスの違いによって砂の落ちるのが早い方、遅い方、個人差はありますが、メンテナンス、定期検診、症状に応じた歯科治療には、「砂の流れを遅くする」効果があるわけです。そこからさらに先、「そもそもなぜ虫歯になるのか」について考えることも、同じくらい大事なことだと思います。

──なぜ虫歯になるんですか。

ごくシンプルに言うと、虫歯は「長期間、同じ場所に汚れが付いたままになる」ことで、できるわけです。つまり虫歯は「長期間、同じ場所に汚れが停滞しないようにする」ことで予防できる。当たり前に聞こえるかもしれませんが、虫歯予防というのは、これに尽きるんですね。この原則さえ守ってさえいれば、歯周炎、歯周病の進行をかなりの程度、防ぐことができます。

──そのためには具体的にどうしたらいいんでしょう。

やはり定期検診とメンテナンスしかありません。私自身、毎日の歯磨きが完璧にできているかと言われると、これは自分では判断できないんですね。口腔内の状態を第三者にチェックしてもらって「この部分、汚れていますね」「クリーニングしておきましょう」というように、評価とメンテナンスをしてもらう必要があります。

プロである歯科医でさえ、この状態ですから、一般の方がお口のなかをよい状態に保つというのは、簡単なことではありません。当院では3ヵ月ごとの定期検診をおすすめしていて、ハガキで定期検診を呼びかけています。定期的にチェックをしてもらい「長期間、同じ場所に停滞する汚れを作らない」ようにする。これだけでもかなり大きな違いが出てくると思います。