「女性目線の歯のきれいさ」に
不可欠なコミュニケーションとは

──そのほか、とくに力を入れている治療分野はありますか。

私自身が女性だからということもありますが、審美領域の治療にとくに力を入れています。審美歯科というと義歯の色、形といった部分に目が行きがちですが、歯そのものを美しく見せるためには、歯ぐきの状態にも配慮が必要です。そこをよりよくしていくためには、歯周外科の治療なども必要になってきます。

──ひとくちに審美治療とよく言いますが、男性と女性では求められるものも違ってくるんでしょうか。

違うと思います。とくに女性の場合、「女性目線での歯のきれいさ」みたいなものがあるんですよ。そういった部分をフォローできる、女性の患者さんと本音で相談ができるというのも、女性歯科医師ならではの強みだと思っています。

一番目が行きやすいのは前歯ですが、前歯をきれいにするためには奥歯も大事。最初はそんなことから、お話していきます。歯そのものの色、笑ったときの歯の出具合など、それぞれにかなり細かな違いがあって、たとえば「白い歯」といっても、本当に真っ白がいいという方もいれば、自分の年齢に合わせた自然な色がいいという方もおられます。

──そこに女性目線が加わるわけですから、審美治療はかなり繊細、難易度が高そう、ということだけはわかります。

患者さんと歯科医が最終的なゴールに向かって二人三脚で、というのはどんな治療もまったく同じ。ただ感覚的な要素が大きくなる分、審美のほうが難しい部分があるのかもしれません。先ほどお話しした「話しやすさ」「女性ならではの部分も含め、しっかりとコミュニケーションが取れること」といった面は、そういった意味でも重要だと思っています。

きめ細かなコミュニケーション能力は、繊細さが要求される審美治療でも大きく役立つ

──先ほど、「歯を美しく見せるためには歯周外科の治療も大事」とおっしゃってましたが、具体的にはどういうことなんでしょう。

たとえば歯ぐきが退縮(※歯ぐきがやせて下がってしまうこと)してしまっている場合には、歯ぐきの組織を移植する外科的手法をお薦めすることがあります。この外科的治療には「お手入れのしやすい歯ぐき」にするという狙いもあるんです。

──「お手入れのしやすい歯ぐき」って、どういうことでしょうか。

「歯ぐき」にも種類があって、大きく分けると上顎内側のような「固い歯ぐき(※角化歯肉=表面に固い上皮があるという意味)」、下顎外側のような「やわらかい歯ぐき」という2種類があります。

固い歯ぐきは痛みも感じにくいので歯磨きもしっかりできるんですが、やわらかい歯ぐきは痛みを感じやすいので、歯磨きがあまりきちんとできない、ということになってしまいがちです。また歯ぐきが弱い分、退縮も起こりやすいです。結果、歯周ポケットがどんどん深くなって、歯周病が進行してしまいます。

こうした悪循環を防ぐために、角化歯肉を増やす治療、具体的に言うと角化歯肉の移植をおこなうことがあります。歯ぐきの移植というと怖いと感じる方もいるかもしれませんが、比較的よく行われる治療です。歯ぐきの退縮を治療するという意味で審美的効果もありますし、角化歯肉があることでインプラントの保ちも違ってくると思います。

──インプラントも長持ちする。角化歯肉の移植には審美以外の効果も期待できるわけですか。

はい。ただ自費診療(※保険外)になりますので、費用、効果などについて事前にしっかりお伝えして、選択肢のなかからどれを選ぶか、患者さんと話し合いをするプロセスが必要不可欠です。「納得していただいた上で最善の治療方法を選択する」というのが、やはり歯科治療の基本ですから。