痛みを感じるまで自覚症状が
ほとんどない「歯の破折」

総入れ歯の人が減るにしたがって歯の破折が大きな問題になってきたということですが、その原因となる噛み合わせ、歯の当たりによる自覚症状には、どんなものがあるんでしょうか。

最初のうちは自覚症状がほとんどないのが一般的です。虫歯や歯周病と同じで、痛くなって初めて「歯医者に行こうかな」と考えるわけですね。痛みを感じる場所というのは、もちろん神経ですが、歯の神経は中心部にありますので、初期症状が出にくい。痛いなと思ったときには、かなり症状が進んでしまっていることが多いです。

歯の神経に刺激が伝わるようになって初めて痛い、しみるという症状が出てくるわけで、そのときにはもうかなり症状が進んでいるわけなんですね。

そうなんです。歯医者さんって痛い思いをするところなので、皆さんできるだけ行きたくないと思ってらっしゃいます。しかし痛い思いをしないためには、逆に定期検診であるとか、メンテナンス、こういったことをしておいた方が、効果が高いんです。

痛くないときに行けば痛い治療、処置というのも基本ないわけですし、初期症状のうちに治療してしまえば、慢性的に痛い思いをすることもない。たしかにそのとおりですね。

おっしゃるとおりなんです。私たち歯科医師としては、歯医者さんに対する苦手意識を少しでも和らげて、定期検診やメンテナンスに来ていただけるよう、患者さんの意識を変えていけたらな、とつねに考えています。定期検診に来ている方と、来ていない方を比較すると、自分の歯を失うスピードが何倍も違ってくるという調査結果もあったりします。

客観的に見ても、定期検診、早期治療のメリットというのは、かなり大きいです。早期治療であれば費用的な面も抑えられますし、通院する期間も短くて済むことが多い。そういった意味でも定期検診というのは、しておいた方がよいと思います。長い目で見れば見るほど、患者さん側のメリットになることが多くなってくるんですね。なにより定期検診、早期治療は痛くないですし。

口腔内の写真撮影、顕微鏡を使った治療などで、患者さんにわかりやすい治療を心がけている

目代先生は、最近どんな治療に力を入れているんでしょうか。

ここ最近は口腔内の写真を撮ったり、顕微鏡でさらに細かい部分の写真を撮ったりして、それを患者さんに見ていただく、というプロセスにとくに力を入れています。写真を見ながらの説明というのは、やはり情報量が多いですし、わかりやすいんですね。自分の歯の写真を見ることで、患者さんに健康な歯を残す価値、早期治療の大切さなどを少しでも伝えられたらと思っています。

神経の治療、虫歯の治療、詰めもの、被せものを入れるなど、ことばではよく聞くと思うんですが、実際にどういった治療をするのか、よくわからないという方がほとんどだと思うんですね。

神経の治療など、とくにそうですね。具体的にどこをどうしているのかと訊かれても、よくわからない人がほとんどではないでしょうか。

いままでわかりづらかった治療も顕微鏡写真などをお見せすることで、かなりイメージしやすくなると思います。この「画像、映像を見ながら説明し、患者さんにご理解いただく」というプロセスは、これからの歯科治療において、かなり重要になってくるんじゃないかと思います。

治療の選択肢がいくつかあったとして、どれがいいかを決めるのは最終的には患者さん自身です。であれば、歯科治療に対する幅広く、正しい知識があった方が当然いい判断ができるでしょうし、長い目で見てベストな選択ができるのではないでしょうか。