洗浄、滅菌、個別包装。すべてが
揃って初めて意味が生まれる

滅菌済みの基本セット。かならず患者さんごとに新しいものを使用している

──基本セットを500組以上常備する。それは患者数の多い大規模医院だから、できることなんでしょうか。

そうかもしれません。もうひとつの事情としては、滅菌自体に保険点数が認められていないことも大きいのではないでしょうか。保険点数が認められていない以上、どうしてもそこまでのコストはかけられない、そう判断する医院があったとしても、それは責められないことだと思います。

──設備投資をして、コストが回収できるだろうかとか、不安に思ったことはなかったんですか。

じつはそういうことって、あまり考えたことがないんです。正しいことはかならず評価されるはずだから大丈夫、というのが開業当初からの考え方なんですね。

たしかに患者さんごとに滅菌したセットを使ったからといって、その費用を患者さんからもらうことはできません。でも「親知らずを抜いたときにもあまり腫れなかった」「ツールはかならず滅菌済みの新しいものを使っている」といった口コミが広がり、患者さんの数が増えていけば、かけたコストも結果的に回収できていくはずだ、そう思っていたんです。

──滅菌について、ほかに気を付けていることはありますか。

洗浄は人によって仕上がりにムラが出る手洗いではなく、機械洗浄にする。専用機器で滅菌したあとのツール類の保管も紫外線の当たる棚などを使う。基本セットごとに個別包装して、使うときに初めてパッケージから出す。これは徹底しています。滅菌は、この3つが揃って初めて意味が出てくるんです。

個別パッケージされた基本パックを見て、「ちゃんとしてるんですね」と言ってくださる患者さんもいます。とくにアピールしてるわけではありませんが、そう言ってもらえると、やっぱりうれしいですね。

院内の滅菌コーナー。機械洗浄、滅菌、個別包装が揃って初めて意味がある